「東京マジふざけんじゃねえ!!」
「なんなんですか急に!?」
「おれ、出身が田舎の方なんだけど、東京来てびっくりした事いっぱいあんのよ」
「そうなんですか」
「お前出身どこ?」
「ずっと東京ですけど」
「あー、じゃあわかんないと思うわ、このみじめな気持ちは」
「みじめって何がですか」
「何がだと!?すげえ色々あるよ!!」
「たとえばなんですか」
「まずね、コンビニのバイトの時給が850円だって事を知った時」
「あー、コンビニは安いですよねー」
「ふざけんなあぁ!!!」
「痛っ!!」
「そうやってお前は田舎に住んでる人間をさげすんだ目で見てるんだろ!!」
「見てないっすよ」
「いいや見てるね!知らず知らずのうちに田舎をバカにしてるね!」
「してませんって」
「おれの地元のコンビニの時給、時給650円スタートだからね」
「やすっ!!」
「しかも最初の1ヶ月とか2ヶ月は研修期間だから、そこからさらに下がるからね」
「ええー!きついっすねー!」
「それがだぞ、東京来ただけで、時給が200円も上がる」
「仕事の内容とかは同じだけに、たしかにそれはやり切れないものがありますね」
「同じじゃない!絶対同じじゃないよ!」
「いや、だってコンビニでしょう?それはどこも同じですよ」
「おれの田舎、雪とかすごい積もるんだけど、雪かきとかあるよ」
「あー雪国なんですか、そんな積もるんですか」
「マジハンパないよ、屋根から雪おろさないと家がつぶれるって言われるんだもん」
「雪の重さでですか」
「そう、だからもう命がけだよ、自分の身を守るために雪かきするわけだよ」
「東京も積もる時は積もりますけど、そういう感覚はないですねー」
「東京の雪なんてあれ、積もったうちに入らねえよ!!」
「そうなのかもしんないですね、田舎の人から見たら」
「あっ…!お前今またちょっと田舎バカにしたろう!?この野郎!!」
「いやいやいやしてないですしてないです!他にもなんかあるんすか、東京来てびっくりした事」
「そうだなぁ、やっぱり電車にはびっくりしっぱなしだったね」
「電車?」
「3分後とかにすぐ来たりするじゃん」
「本数が多い」
「3分後とかありえないから!早すぎるよ!」
「それが普通で育ってきたんで、早いって言われてもピンとこないっすね」
「おれの田舎、30分とか40分に1本しか来ないからね」
「えっ!?困る!!」
「そうだよ!乗り過ごしたら超寒いところで何十分も待つんだぞ」
「地獄っすね」
「しかも来る電車も2両とかだからね」
「それで乗客みんな乗り切れるんすか!?」
「まあ正直足りちゃうね、1両の時とかもあるし」
「ガラガラなんすね」
「だから総武線のホームで聞いたアナウンスはマジ耳を疑ったね」
「どんなんですか」
「『次の東京行きは、短い11両編成で参ります』」
「まあ、地元が2両とかだったら、当然」
「なげえええええええええええーーーーーー!!!」
「そう思いますよね、無理もないですよ」
「あとねー!おれの地元、終電、夜8時とかだぜ!?」
「8時!?」
「8時!」
「早すぎますよ!!」
「いや東京が遅くまで走りすぎなんだよ!なんで夜中の1時過ぎまで電車走ってんの!?」
「普通ですよ!」
「普通じゃねえっつうんだよこのヤロおおおおお!!」
「ほんと田舎ってすごいっすね」
「そうだよすげえんだよマジ東京が快適でむかつく!あーまたひとつ思い出した!」
「まだあるんすか」
「お前、車とかで走ってて『ナントカまであと何m』とかって看板見たことある?」
「『デニーズまであと200m』とかそんな感じのですか」
「そうそう」
「ありますけど、都心の駅の近くとかではそんなに見ないですねー…それがどうしたんです?」
「うちの地元では『ローソンまであと直進5km』とかそういう看板があんの」
「5キロってちょっと遠いし、しかもローソンって」
「バカお前5キロなんて近い方だからね!もっとひどいのあるよ!」
「どんなですか」
「今まで見た中で一番ひどかったのは『ジャスコまで30km』っていうのが」
「遠ーーーーーーっ!!」
「しかもジャスコだぜ!?ジャスコまではるばる30km走っていくんだぜ!?考えられるか!?」
「いやもう全然考えられないです」
「だからね!!都心に住んでる奴と田舎に住んでる奴ではホント全っ然価値観違うんだよ!!」
「そりゃ違って当然ですねー」
「だからもうホント!東京ふざけんなって思う!」
「無理もないです」
「東京来て鼻毛のびるの早くなった事にも驚いたわ!」
「たぶん空気が汚いんですね」
「あと、アパート借りる時!」
「はいはい」
「更新料とか言って、2年ごとに家賃の2ヶ月分の金額を、家賃とは別に取られるのにはヒイたわ!!」
「え?田舎はないんですか?」
「ない」
「えーーー!!うらやましい!!」
「じゃあ田舎住むかお前!?」
「いえ、遠慮しておきます」
