「『私の戦闘力は53万です』にはみんな絶望したと思うんだよ」
「フリーザですね」
「ベジータの戦闘力が2万台の時に、53万ってお前」
「桁が違いますからね」
「あの時まだフリーザって一度もまともに戦ってないんだよ」
「そういえばそうですね」
「でも、53万て言われただけで『うわ、こいつ超強い』ってみんな理解できる」
「数値で出てますからね」
「そう!そこ!みんな騙されてるよ!」
「どういうことですか」
「なんで『53万は嘘かも』とか考えないの?」
「フリーザそんな嘘言います?」
「ふざけんなぁ!」
「痛っ!!」
「お前が一体フリーザの何を知ってるっつうんだよ!」
「殴ることないでしょう」
「親友かお前は!マブダチか!惑星フリーザ出身か!」
「ちがいますけど」
「確かにあのタイミングでフリーザ様が嘘の申告をする可能性は限りなく低いよ」
「そうでしょう」
「でも!本当に53万かどうかはどこにも証明されてないからね!」
「確かにそうですね」
「だろ!?誰かフリーザ様の戦闘力をスカウターで測りましたか?」
「測ってないです」
「まあ測ってもスカウターはきっと爆発するけどな!何あれ!なんで爆発すんの!?」
「なんでって言われても」
「いつも使ってるパソコンがフリーズするかわりに爆発したら怖いだろ!」
「そりゃ怖いですけど!」
「あれはそういう事だからね!なんで例外処理が爆発なの!」
「まああんな所で爆発してたら普通の人は耳が吹き飛びますね」
「スカウターユーザーが戦闘民族だとしてもわざわざ爆発させる必要はないよ!」
「すごく強いんだ、っていう事がわかりやすいからじゃないですか」
「そう!そうだと思うよ俺も!みんな結局わかりやすい物が好きだよね」
「どういうことですか」
「例えば戦闘力を数値化するなんていい例だよね」
「ああ、どっちが強いか一目瞭然ですね」
「そう。たとえ大幅な差があっても『この差をひっくり返すの!?』ってドラマが」
「生まれますね」
「年収200万と年収1000万の人、どっちが立派だと思う?」
「立派っていうのが、どこを見るかにもよりますけど」
「大半の人は1000万の方だって言うと思うんだよ」
「そうですねえ」
「でもねえ、数値化できないものこそ、本当に大事だと思うのね」
「はあ、たとえば何ですか」
「人の気持ちとか」
「うわっ何急にこっぱずかしいこと言ってるんですか、わかりますけど」
「たとえば気持ちの大きさを測れるスカウターとかあったら、やばいぞ」
「ああー、気持ちが大きい人がいっぱいいて、そこらじゅうで爆発が」
「違う爆発はどうでもいい、カップルとか夫婦間の温度差が即バレるだろ」
「そこですか!?」
「怖いぞー!『ス、スカウターの故障だよ!』じゃすまないぞ!」
「考えるだけで恐ろしいですね」
「『アタシは53万なのになんであなたは2万なの!?』」
「フリーザ対ベジータ!」
「だから数値化しない方がいいものもあるわけ。それぐらい数字には説得力がある」
「よくわかりました」
「俺は数値化とか、絶対やめた方がいいと思うね!だましの手口だよ!」
「だましの手口って」
「数字をデータとして並べ立ててもっともらしい事を言えばみんなコロっと騙されるの!」
「健康診断とかも結果が数値で出ますよね」
「血液中のナントカ濃度がいくつ、とかだろ。あれ自分で確認しようがないもんな」
「鵜呑みにするしかないですよね」
「検査した奴がミスってるかもしれないのにだよ!?」
「さすがにそれはないと思いますけど!」
「ないとは言い切れないだろ人間なんだからミスもするよ!数字で出てるから、なおさら怖い!」
「数字で出さない方がいいですか」
「いいね!もっとフワッとした感じで『あなたはちょっと危ない』とか言ってよ!」
「そっちの方がよくわからなくて怖いですよ!」
「待てよ!第一そんな正確にわかりたいか?わかったところでどうするの?」
「健康診断なら、どのくらい危ないかがわかるじゃないですか」
「だからそれを自分で知ってどうするの?その数字がわかったところで対策は何もないんだよ?」
「それはお医者さんがしてくれるでしょう」
「じゃあ医者だけわかってりゃいいじゃん!」
「いや、まあ、はい」
「なんで自分でわざわざ知って、ショックを受けなきゃならないの!」
「まあ、ショックを受ける人もいるんでしょうけど、知りたい人もいますよ」
「お前俺がどのくらいのショックを受けるか知らないからそんな事いえるんだよ!」
「そんな事ないですよ」
「うるせえ!お前の想像してるショックと俺のショックは全然違う!卒倒だよ俺のは!」
「ショックはショックでしょ」
「お前の想像するショックが100だとしたら、俺のショックは5万だよ!」
「数値化したー!」
